2009年1月12日月曜日

『戦略プロフェッショナル』

戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ

現在ミスミグループCEOの三枝 匡(さえぐさただし)氏の著作。
同氏の『経営パワーの危機』、『V字回復の経営』と合わせて、あまりにも有名なベスト&ロングセラー。




《主なテーマ・ジャンル》

経営戦略、事業変革、リーダーシップ、マーケティング戦略(プロダクト・ライフサイクル、セグメンテーション、プライシング)、選択と集中、経営管理

《こんな人にお勧め》 と言いますか必読です!
経営者、事業責任者、部門リーダー、戦略・企画部門、マーケティング部門、これらを目指す若手ビジネスマン


内容はドラマ仕立てで、フィクションではありますが、著者が実際に自らリードした企業変革を基にしていてとてもリアリティがあります。

以下、私の理解ですが、、、
同氏の著作は一貫して「日本には戦略プロフェッショナル人材が圧倒的に不足している」という問題意識に基づいています。
同氏の言う戦略プロフェッショナル人材とは単に論理的に戦略を考えられるMBAホルダーや企画担当ではなく、自らリーダーとしてチームを引っ張り、自ら戦略を緻密な実行戦略に落とし、実行し、進捗・結果をしつこくレビューし、最終的に成功に導ける人材です。
もっと簡潔に言えば戦略立案能力とそれを断固として実行する強いリーダーシップをもっと人材と言うことですが、日本企業のビジネスマンにはどちらの能力も欠けており、その育成のためのケーススタディとしてこれらの本を書いているということです。

「リーダーシップ」という観点からはどの著作も共通だと思いますが、「戦略」という観点からは著作によりテーマが異なっているようです。
ケーススタディなので、その会社の経営改善・事業変革に必要な戦略が異なるので当たり前といえば当たり前ですが。
V字回復の経営』の戦略上のメインテーマは組織戦略です。
顧客に密着し、「創って作って売る」のサイクルを速く回し、責任を明確にするために組織を小さくシンプルにする。Small is beautiful.

一方『戦略プロフェッショナル』の戦略上のメインテーマはマーケティング戦略です。
もう少し細かく言えば、プロダクト・ライフサイクルであったりセグメンテーションであったり価格戦略であったり。
特に著者の言葉で言えば「絞りと集中」ですが、定番の言葉で言えば「選択と集中」が強調されています。
理論的にはマーケティングを勉強した人には基礎的な内容だったりもしますが、複雑な現実の中でいかにその理論を当てはめて実践するのか、という点で非常に参考になると思います。
特に本当の「選択と集中」は必ず組織に無理を強いることになるので、戦略だけ立てたところでそれは道半ば。
それを実行に移す緻密なプランニングとしつこいモニターをリーダーが自らやることが必要だと説いています。

私はあまり本を読み返すことはありませんが、この本は繰り返し読む価値あります。
あとはこれを実践できるか?
だんきち、できるのか!?
この本を読んで感銘を受けた全国のビジネスマンの皆様、がんばろー。