戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ
現在ミスミグループCEOの三枝 匡(さえぐさただし)氏の著作。
同氏の『経営パワーの危機』、『V字回復の経営
』と合わせて、あまりにも有名なベスト&ロングセラー。
《主なテーマ・ジャンル》
経営戦略、事業変革、リーダーシップ、マーケティング戦略(プロダクト・ライフサイクル、セグメンテーション、プライシング)、選択と集中、経営管理
《こんな人にお勧め》 と言いますか必読です!
経営者、事業責任者、部門リーダー、戦略・企画部門、マーケティング部門、これらを目指す若手ビジネスマン
内容はドラマ仕立てで、フィクションではありますが、著者が実際に自らリードした企業変革を基にしていてとてもリアリティがあります。
以下、私の理解ですが、、、
同氏の著作は一貫して「日本には戦略プロフェッショナル人材が圧倒的に不足している」という問題意識に基づいています。
同氏の言う戦略プロフェッショナル人材とは単に論理的に戦略を考えられるMBAホルダーや企画担当ではなく、自らリーダーとしてチームを引っ張り、自ら戦略を緻密な実行戦略に落とし、実行し、進捗・結果をしつこくレビューし、最終的に成功に導ける人材です。
もっと簡潔に言えば戦略立案能力とそれを断固として実行する強いリーダーシップをもっと人材と言うことですが、日本企業のビジネスマンにはどちらの能力も欠けており、その育成のためのケーススタディとしてこれらの本を書いているということです。
「リーダーシップ」という観点からはどの著作も共通だと思いますが、「戦略」という観点からは著作によりテーマが異なっているようです。
ケーススタディなので、その会社の経営改善・事業変革に必要な戦略が異なるので当たり前といえば当たり前ですが。
『V字回復の経営』の戦略上のメインテーマは組織戦略です。
顧客に密着し、「創って作って売る」のサイクルを速く回し、責任を明確にするために組織を小さくシンプルにする。Small is beautiful.
一方『戦略プロフェッショナル』の戦略上のメインテーマはマーケティング戦略です。
もう少し細かく言えば、プロダクト・ライフサイクルであったりセグメンテーションであったり価格戦略であったり。
特に著者の言葉で言えば「絞りと集中」ですが、定番の言葉で言えば「選択と集中」が強調されています。
理論的にはマーケティングを勉強した人には基礎的な内容だったりもしますが、複雑な現実の中でいかにその理論を当てはめて実践するのか、という点で非常に参考になると思います。
特に本当の「選択と集中」は必ず組織に無理を強いることになるので、戦略だけ立てたところでそれは道半ば。
それを実行に移す緻密なプランニングとしつこいモニターをリーダーが自らやることが必要だと説いています。
私はあまり本を読み返すことはありませんが、この本は繰り返し読む価値あります。
あとはこれを実践できるか?
だんきち、できるのか!?
この本を読んで感銘を受けた全国のビジネスマンの皆様、がんばろー。
2009年1月12日月曜日
『戦略プロフェッショナル』
2007年11月4日日曜日
【読書】 人を動かす人になれ! -すぐやる、かならずやる、出来るまでやる
別のエントリーで「買いました」とだけ書いていたもの。
ハードワークと情熱的な経営で有名な日本電産グループのトップ永守重信の著作。
「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という副題がとても気になっていたのですが、この副題についてはあまり語られていませんでした。
それよりも社員の能力を最大限に発揮するための、褒め方、叱り方、経営者の心構えが具体的に詳細に語られています。
部下を持つ人にはとても役に立つ内容だと思います。
経営に関する書籍としては正直、感動や驚きは別にありませんでしたね。
気になったのは以前のエントリーで書いた元西武ライオンズの森監督の「勝ち続けるために何をすべきか」との比較です。
永守社長曰く、
「上司は聞き上手になること。・・・親身になって最後まで話を聞いてやることが重要だ。」
「ベンチャー企業が忘れてはならないキーワードは、「売ってから作る」こと。・・・「売ってから作る」ことは「勝ってから戦う」ということでもある。」
「世の中の競争なんて、鼻先三分の差ぐらいでしかない。・・・人よりちょっとだけ努力したらいい・・・成功するかしないかは、結局は自分に克てるかどうかで決まる。」
というあたりはとても共通していますね。
一方、永守社長が組織には社員を引っ張る強烈なリーダーシップが必要という考えに対して、森監督はリーダーは常に冷静であるべきという主張。
創業経営者である永守社長とサラリーマン経営者的立場の森監督との好対照で面白いです。
『ビジョナリーカンパニー』と『ビジョナリーカンパニー②』の違いにも通じる気がします。
これらの本についてもいずれ書きます、、きっと。
2007年10月28日日曜日
【読書】【野球ネタ】 「勝ち続ける」ために何をすべきか
9年間の在任中にリーグ制覇8回、日本一6回という偉業を成し遂げた元西武ライオンズ監督の森祇晶氏が、監督退任の翌年に、「勝ち続ける」ための組織作り、人材育成、リーダーの仕事についてまとめたもの。
私が大学の野球部で主将(兼監督)だったときに非常に参考にしたものの一つ。
そのときはまさしく野球に活かすために読んでいたのですが、今読んでも仕事にも通じることがたくさんあります。
以下、心の留まった文を備忘録代わりに書き留めます。
「数字がどうの、相手がどうのというのは、自分自身との闘いの「仮の姿」でしかない・・・この闘いは自分が生きている限り続く・・・「自ら勝つものは強し」なのだ。」
真に勝負の世界で戦い続けてきた人間のセリフだよなー。
カッコよすぎ。
なかなかこんなこと言えないよな。
「闘いのなかで一番大事ことは、勝ちゲームに反省を求めるということだ。敗因はどのチームも分析する。・・・ただ勝つだけならこれでいいが、勝ち続けることを目指すなら、これだけでは足りない。勝ちゲームの中にも反省材料はたくさんある。これを探し出して、次の試合の糧にできるチームが勝ち続けられる・・・見つからなかったチームの反省材料は、小さなほころびとして残る。負けていればすぐ見つかったものが勝ったことによって消されてしまう・・・そうやって放っておくうちに、ほころびはだんだんと大きくなって、ついにはどこが一番の反省材料だったのかもわからないように広がってしまう・・・」
胸が痛い。。。
「・・・「できなくて当たり前」とみる。できないから、考えたり、練習したり、悩んだりしてできるように頑張る・・・自らに対する闘いも、誰でもができる」
大学時代はこれでストレスから解消されました。
「反省を求めようと思ったら、まず選手の話を聞く。選手には選手の言い分がある。これを辛抱強く聞いてやらなければ、解決策は出てこない。話しているうちに、選手のやる気が自然に出てくればそれが一番いい。」
「選手に限らずどんな集団でもリーダーは確実な情報を最優先で与えるに限る。対象が鮮明になる分、現場の集中力が増す」
「「善く兵をもちうる者は、たとえば卒然の如し」・・・勝ち続けようと思ったら、相手に「かなわないな」と思わせることだ」
「どんな闘いも心理戦である。精神的に優位に立って初めて勝ちを収めることができる。まさしく孫子に言うように、「勝兵(しょうへい)は先ず勝ちて、しかる後、闘いを求むるなり」である。」
「野球は、勘を頼りに監督がひとりで闘うものではない。勝つために何をするかを全員で理解するためには、客観的に答えが出る計算が必要だ。」
「4番打者ばかりをズラリと並べるのではなく、一流の1番打者、一流の2番打者、一流の5番打者がいる打線が実は怖い・・・それぞれの置かれたポジションの役割がしっかりとしていて、その頂点を目指そうと選手たちが努力しているチームが、勝ち続けることを可能にするチームである。」
どこかの金満球団はいつまでたってもこのことがわからんのが不思議。
「勝ったり負けたりするのが野球だ・・・その中で相手より一つ多く勝てばいいのだ。しかも常に終わりは上向きになるようにする。勝ちも確率的なのだ。全部勝とうなどとは思わない。」
「孫子に「兵の形は水に象(かたど)る。水の行くは、高きを避けて下(ひく)きに趨(おもむ)く。兵の形は、実を避けて虚を撃つ」というのがある。軍勢の動きは水に例えられる。水は高いところを避け、低い所に行く。闘いもまた相手の主力を避けて手薄なところを撃つべき・・・ぼくは相手の主力を裂けようとは思わなかった。だが、相手の弱点は突くようにした。」
「勝っても負けても、そのゲームがどう闘われたかは、きちんと記録しておかなければならない。・・・僕は一晩置いてつけることにしていた。・・・必要なのは闘いの思い出ではない。勝つための、あるいは勝ち続けるための反省であり、「自助力」を育むための指針である。」
さすがに勝負の世界の現場で勝ち続けてきた人間の言うことは具体的で説得力があり、深くて重いですね。
2007年9月15日土曜日
ソーシャル・ウェブ入門
(← アマゾン・アソシエイトに参加してみました。あまり期待していませんが。)
最近のソーシャル系のネットサービスの概念、意義、具体例などについて、非常にわかりやすくまとめられています。
「入門」なだけに普段から結構こういうネットサービスを利用している人には当たり前すぎるような内容も含まれていますが、概念や意義に偏るでもなく、具体例の話だけでもなく、包括的に・体系的に(は言い過ぎかな?)まとめられていますので一読の価値はあると思います。
「固くて重いツリーから、ゆるくて軽いタグへ」というコラムがとても興味深いですね。
「ツリーではトップレベルから個別の実体までの経路を指定することで分類を行う」のに対し、「タグによる分類は実体にヒモをつけておいて、ヒモを引っ張れば実体が引き出せるような方式だ。ひとつの実体に思いつくまま何本でも必要なだけヒモ(タグ)をつけておくことができる。」
なるほど~。すっきり。
そしてこの考え方は現実世界の組織論にも当てはめられる。
組織論的には新しい話ではないかもしれないけれども、Webやタグという一見無関係なツールから組織論へと展開できることが興味深い。
ソーシャルサービスの代表であるSNS(日本ではご存知mixi)から始まり、ブログ、ソーシャルブックマーク、写真・動画共有、Wikipediaなどなど具体事例も盛りだくさん。
ちなみに私はこれを読んで、もっといろいろ体験してみないと、と思いブログを始めました。
【読書】 とてつもない日本
先週の日曜に、なんとなく本屋に立ち寄って麻生太郎著『とてつもない日本』を買いました。
普段本を買うときはほとんどAmazonで済ませてしまいますが、たまに本屋によると普段だったら手に取らないようなものを買えて面白いね。
そしたら今週、安倍総理が退陣、麻生太郎が総裁選立候補表明。
なんとタイムリーな。
タイトルはプチ国粋主義者(私もどちらかというと国粋主義者ですが、、)のようで軽い印象ですが、なかなか面白かったです。
話題はニート、高齢化、格差問題、教育、地方社会・経済、外交、靖国、など。
主張はちょっと軽い・薄い印象もあるけれど、それはこの程度の新書なので狙い通りでしょう。
その前提で言えば基本的に非常にまともな主張ばかりでした。
巷に氾濫する意見・主張は、イデオロギー(マスコミ)だったり、既得権益保護(官僚)であったり、人気取り(政治家)であったりで、とても本当に日本全体のため、もしくは日本の将来のために語っているとは思えないものばかり。
もちろん麻生も政治家なのでやや人気取り的かなと思えるところもありましたが、基本的には巷で受けのよさそうな意見に迎合せず、論理的にかつ軽妙に主張を述べています。
麻生セメントを経営していた経験によるものかな。
成功していたのかどうか走らないが、一民間企業を経営していたというその経験はなかなか得がたいものでしょう。
今の日本の諸問題って合理的な経営力による部分が非常に大きいと思っているのですが、そういう能力・意識を持った政治家なんて皆無かと思っていたらここにいました。
基本的に私はアンチ自民ですが、彼は応援してもいいなと思えました。
しかし今総裁選は福田氏がリードしているとのこと。
麻生、がんばれ!