2007年10月28日日曜日

【読書】【野球ネタ】 「勝ち続ける」ために何をすべきか


9年間の在任中にリーグ制覇8回、日本一6回という偉業を成し遂げた元西武ライオンズ監督の森祇晶氏が、監督退任の翌年に、「勝ち続ける」ための組織作り、人材育成、リーダーの仕事についてまとめたもの。
私が大学の野球部で主将(兼監督)だったときに非常に参考にしたものの一つ。
そのときはまさしく野球に活かすために読んでいたのですが、今読んでも仕事にも通じることがたくさんあります。

以下、心の留まった文を備忘録代わりに書き留めます。

「数字がどうの、相手がどうのというのは、自分自身との闘いの「仮の姿」でしかない・・・この闘いは自分が生きている限り続く・・・「自ら勝つものは強し」なのだ。」
真に勝負の世界で戦い続けてきた人間のセリフだよなー。
カッコよすぎ。
なかなかこんなこと言えないよな。

「闘いのなかで一番大事ことは、勝ちゲームに反省を求めるということだ。敗因はどのチームも分析する。・・・ただ勝つだけならこれでいいが、勝ち続けることを目指すなら、これだけでは足りない。勝ちゲームの中にも反省材料はたくさんある。これを探し出して、次の試合の糧にできるチームが勝ち続けられる・・・見つからなかったチームの反省材料は、小さなほころびとして残る。負けていればすぐ見つかったものが勝ったことによって消されてしまう・・・そうやって放っておくうちに、ほころびはだんだんと大きくなって、ついにはどこが一番の反省材料だったのかもわからないように広がってしまう・・・」
胸が痛い。。。

「・・・「できなくて当たり前」とみる。できないから、考えたり、練習したり、悩んだりしてできるように頑張る・・・自らに対する闘いも、誰でもができる」
大学時代はこれでストレスから解消されました。

「反省を求めようと思ったら、まず選手の話を聞く。選手には選手の言い分がある。これを辛抱強く聞いてやらなければ、解決策は出てこない。話しているうちに、選手のやる気が自然に出てくればそれが一番いい。」

「選手に限らずどんな集団でもリーダーは確実な情報を最優先で与えるに限る。対象が鮮明になる分、現場の集中力が増す」

「「善く兵をもちうる者は、たとえば卒然の如し」・・・勝ち続けようと思ったら、相手に「かなわないな」と思わせることだ」

「どんな闘いも心理戦である。精神的に優位に立って初めて勝ちを収めることができる。まさしく孫子に言うように、「勝兵(しょうへい)は先ず勝ちて、しかる後、闘いを求むるなり」である。」

「野球は、勘を頼りに監督がひとりで闘うものではない。勝つために何をするかを全員で理解するためには、客観的に答えが出る計算が必要だ。」

「4番打者ばかりをズラリと並べるのではなく、一流の1番打者、一流の2番打者、一流の5番打者がいる打線が実は怖い・・・それぞれの置かれたポジションの役割がしっかりとしていて、その頂点を目指そうと選手たちが努力しているチームが、勝ち続けることを可能にするチームである。」
どこかの金満球団はいつまでたってもこのことがわからんのが不思議。

「勝ったり負けたりするのが野球だ・・・その中で相手より一つ多く勝てばいいのだ。しかも常に終わりは上向きになるようにする。勝ちも確率的なのだ。全部勝とうなどとは思わない。」

「孫子に「兵の形は水に象(かたど)る。水の行くは、高きを避けて下(ひく)きに趨(おもむ)く。兵の形は、実を避けて虚を撃つ」というのがある。軍勢の動きは水に例えられる。水は高いところを避け、低い所に行く。闘いもまた相手の主力を避けて手薄なところを撃つべき・・・ぼくは相手の主力を裂けようとは思わなかった。だが、相手の弱点は突くようにした。」

「勝っても負けても、そのゲームがどう闘われたかは、きちんと記録しておかなければならない。・・・僕は一晩置いてつけることにしていた。・・・必要なのは闘いの思い出ではない。勝つための、あるいは勝ち続けるための反省であり、「自助力」を育むための指針である。」

さすがに勝負の世界の現場で勝ち続けてきた人間の言うことは具体的で説得力があり、深くて重いですね。