2009年1月13日火曜日

『Hot Pepper ミラクル・ストーリー』

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方

『Hot Pepper』を4年で売上300億、営業利益100億の事業に育て上げ、リクルートの「狭域ビジネスモデル」を確立し、『タウンワーク』『じゃらん』等の事業化を一気に実現した元リクルート執行役員、平尾勇司氏の著作。


《主なテーマ・ジャンル》
事業変革、新規事業、経営戦略、リーダーシップ、マネジメント、組織戦略、組織運営、営業戦略、選択と集中

《こんな人にお勧め》
経営者、事業部門長、部門リーダー、新規事業部門、自分で何か事業を始めたい人。


感動します。
ビジネス書の中であまりない感動で泣ける本です。
それはきっとこのHot Pepperという事業の創造が本当に多くの人の感動を巻き込んで成し遂げられた感動のストーリーだからだと思います。
逆に言えば、どちらかというとストーリー仕立てな本であって、ロジカルに整理されたものではありません。

副題の「リクルート式「楽しい事業」の作り方」という言葉が意外と深いです。
リクルート式かどうかはあまり問題ではないと思いますが、まずは「楽しい」という言葉。
Hot PepperのCMのイメージなどからもしかしたら「ユーモアがある」とか「愉快な」という意味に捉えてしまうかもしれませんが、もちろんそうではありません。
「最高にエキサイティングで感動的な」という意味だと思います。
Hot Pepperのイメージに合うように(?)または本の販売のインパクト上あえて「楽しい」という軽い言葉にしたのかな。
なのでこの「楽しい」主体は内部の人間であって、外部からの見た目の話ではありません。

次に「事業」という言葉。
当たり前ですが、「事業」は「家業」(つまり個人商店や町工場のような)とは違います。
「家業」は中心となる運営者が、限られたマーケットもしくは顧客に対し、商品・サービスを提供するのに対し、「事業」は多くの人を巻き込み、はるかに成長志向でビジネスの拡大を目指すものです。
もちろん「家業」にも「事業」にもそれぞれメリット・デメリットがあり、それぞれに運営の仕方があります。
当たり前のことですが「家業」のように商品・サービスを提供しながら、「事業」を運営することはできない(or 非常に難しい)のに、実はビジネスの現場ではそんな間違いはたくさんある(うちの会社もすぐ間違える!)。
この本はあくまで「事業」としてビジネスを発展させるために、何が間違いなのか、何が大事なのかを教えてくれます。

そして最後に「つくり方」という言葉。ちょっと深読みかもしれませんが、、、
経営書のように小難しいものではない、理路整然と整理されたものではない、戦略ももちろん書いてあるがもっと大事なものがある。。。
この本のもっとも特徴的なところが、どのようにして多くの社員を巻き込むか、どのようにして社員の気持ちを「~ねばならない」から「~したい」に変えるか、どのようにして社員を熱狂させるか、というところに非常に重きを置いているところです。
「つくり方」という言葉はこのあたりを表現できていると思います(ちょっとこじつけだな・・・)

「ビジョンや戦略を物語として語る」という言い方をしています。
ロールプレイングゲームみたいなもので、人は物語の中でミッションを持つと自分の行動の意味づけができて感動を共有できるのだと思います。
世の中は会社/仕事にロールプレイングゲームより物語がなくてミッションばかり与えられることばかりでしょうけど、物語は放っといてできるものではなく、きちんと設計して、きちんと語らなければならないものなのでしょう。
この本が言っているのはそういうことだと思います。

あまり書いてある内容そのものには触れていませんが、そこはぜひご一読を。
絶対に買って損はないと思います。